PMG-SWR®工法研究会設立趣意書
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1.研究会設立の背景および目的
近年、経済不況と環境保全の両面から、建築物の安易なスクラップ&ビルトが避けられる風潮があり、診断・改修の重要性が強く認識され、各種耐震改修技術の開発が進められています。学校及び事務所建築等を対象とした耐震補強技術としては、鉄板使用による柱巻きたて補強、施工が比較的簡便な新素材(シート状連続繊維)による柱巻きたて補強・補修工法、また、各種鉄骨ブレース・増設RC壁を架構内に組み込む方式、既存構面外に新たにフレームを設置する工法、そして、免震構造を補強に用いる工法などが近年、数多く提案・実施されています。
この様な中、集合住宅を用途とする建築物では、他の用途建築物と比較して耐震診断・耐震補強の進捗が停滞している状況になっています。この主な理由として、居住者が住まいながら補強が可能とされる最適な工法が未だにないこと、集合住宅の特色である柱・梁架構内のRC壁が柱、梁に連続して設けられ、いわゆるそで壁・たれ壁・腰壁・方立て壁などの非構造壁(2次壁)が存在する事があげられます。本研究会は主に集合住宅を対象として、上記の問題を解決する耐震補強工法として、『特殊ポリマーセメントモルタル(Special-Polymer-Cement-Mortar:以下、SPCM)』を用いたそで壁付柱の耐震補強工法(PMG-SWR®工法)を開発し普及させることを目的にしております。
(基礎実験は国土交通省平成17~19年度住宅・建築関連先導技術開発助成事業により終了済み)本工法は、SPCMを用いて補強鉄筋(以下、鉄筋パネル)を既存RC造躯体に接着し補強するもので、SPCMの高い接着力によって既存RC部と補強部の一体性を確保するものです。この鉄筋パネルは、『組立鉄筋Aタイプ(スポット溶接の溶接点が、せん断補強筋の規格降伏点強度、主筋の規格降伏点強度及び規格伸びを確保した溶接工法による組立鉄筋)』としており、全強度型溶接によりせん断補強筋(横筋)の降伏耐力を保証し、縦筋及び横筋との交差部におけるSPCMの接着力により交差部の定着耐力を確保し、せん断補強効果を得ようとするものであります。本工法では、そで壁の存在(せん断・曲げ耐力の上昇、軸力保持能力の向上)を耐震的に積極的に活用し、「補強部位」と「方法」を選択することで既往の建物の「耐力(強度)」、「破壊モード」と「靭性能」をコントロールし、損傷制御型の補強効果の評価法としています。
構造材料としてのSPCMは高耐久性であり、建物の長寿命化に最適であり、耐用年数の長期化が可能となります。さらに、モルタル状のものを塗布することのみであるので施工が容易で、騒音・振動が非常に少ない利点があり、また、片側(外側)からのみの場合でも補強効果が得られるため、居住者が住まいながらの補強に対応可能となります。さらに、補強箇所は、特定の住戸のみに施すことでなく、各住戸に存在するそで壁付き柱に対して想定しており、居住者の資産価値が低下しないことを目指しています。本研究会は、民間企業(材料メーカー・設計・施工会社)が研究開発を行い、新たな価値の創造に貢献し、三位一体として本工法の適切な普及を目指し、現在停滞している集合住宅等の耐震診断・耐震補強(改修)の促進を通じて、経済社会の持続的発展と国民生活の安定・向上に寄与することを目的とするものであります。
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2.研究会名称:「PMG-SWR®工法研究会」
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3.主な研究会活動
- 1 技術開発および技術指導。
- 2 文献・資料の収集および活用。
- 3 その他、この会の目的達成に必要な事業。
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4.研究会組織
本研究会には、会長、副会長、監事および理事をおき、会の運営・進行・成果等の取りまとめを行う。
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5.研究会規約
本研究会は別に定める規約により運営される。
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6.連絡先
株式会社 堀江建築工学研究所
〒151-0071 東京都渋谷区本町1丁目52番5号
Tel. 03-3376-1715
PMG-SWR®工法研究会規約
第1章 総則
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第1条(名称)
本会は、PMG-SWR®工法研究会(以下、研究会)という。
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第2条(定義)
PMG-SWR®工法(以下、工法)とは、特殊ポリマーセメントモルタル及び組立鉄筋Aタ イプを用いたそで壁付柱の耐震補強工法をいう。
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第3条(事務所)
本研究会には事務所を置く。事務所の設置場所については、細則による。
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第4条(目的)
本研究会は、会員相互の協力によって、本工法に関する技術の進歩発展、適正な普及をは かり、本工法の設計、施工を通じて既存ストックの長寿命化に貢献することを目的とする。
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第5条(事業)
本研究会は、第4条の目的を達成するために、本工法に関する次の事業を行う。
- 1 技術開発および技術指導。
- 2 文献・資料の収集および活用。
- 3 その他、この会の目的達成に必要な事業。
第2章 会員
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第6条(種別)
会員の種別は、次のとおりとする。
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1 正会員:本工法を研究、設計および施工しようとするもの。
なお、正会員は以下の3種類とする。
ⅰ) 1種正会員:設立時における法人会員
ⅱ) 2種正会員:第8条の手続きにより入会した法人会員
ⅲ) 特別会員:研究会の推薦する学識経験者および技術者である個人会員
1種正会員は、以下とする。
株式会社堀江建築工学研究所※1
三和テクノス株式会社
前田工繊株式会社
株式会社熊谷組
大成建設株式会社
株式会社長谷工コーポレーション
株式会社鴻池組
前田建設工業株式会社
(※1:財団法人日本建築防災協会の技術評価に本工法を申請する法人)
特別会員は、以下とする。
松崎育弘(東京理科大学名誉教授)
中野克彦(千葉工業大学教授) - 2 賛助会員:研究会の目的に賛同し、研究会の認めるもの。
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1 正会員:本工法を研究、設計および施工しようとするもの。
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第7条(入会金および会費等)
会員の入会金および会費等は、細則による。
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第8条(入会)
- 1 正会員になろうとするものは、正会員1名の紹介で所定の入会申込書を提出し、理事会の承認を経なければならない。
- 2 前項の承認を経た正会員としての効力は、前条に定める入会金を納めたときに生ずる。
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第9条(会員の権利)
正会員は、総会における議決権、役員の選挙権・被選挙権をもつ。
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第10条(権利の停止)
正会員で会費の未納が1か年以上に及ぶとき、前条に定めた正会員の権利を停止する。
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第11条(守秘義務)
- 1 正会員は、本工法の開発から施工までの業務において知り得た事業上の情報および秘密 事項を他に漏らしてはならないものとする。ただし、公知の技術、公開された情報に関 してはこの限りでない。
- 2 前項は、非会員となった場合も同様とする。
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第12条(除名・復権)
- 1 正会員が次の各号に該当するときは、理事会の議決を経て、除名することができる。
ⅰ) この会の名誉を傷つけ、またはこの会の目的に反する行為のあるとき
ⅱ) 正会員の権利が停止されたとき
- 2 除名されたものは本工法の設計および施工等に関する情報を会員以外のものに譲渡してはならない。
- 3 除名されたものが再び入会しようとするときは、第8条第1項による。
- 4 前項により承認を経たものの正会員としての効力は、10 条による権利停止に至るまで の未納会費相当額を納めたときに生ずる。
- 1 正会員が次の各号に該当するときは、理事会の議決を経て、除名することができる。
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第13条(退会)
正会員で退会しようとするものは、会費を完納したうえ退会届を提出し、理事会の承認を 得なければならない。
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第14条(会員の資格譲渡の禁止)
正会員が有する本工法の設計および施工に関する技術・権利等は譲渡できないものとする。
第3章 研究会組織
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第15条(役員の種類および定数)
- 1 本研究会は、正会員によって構成され、役員として理事(3名以上)および監事(1名以上)をおく。
- 2 前項の理事のうち、1名を会長、1名を副会長とする。
- 3 理事会は、理事をもって構成し、会長がこれを招集する。
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第16条(役員の選任)
理事および監事は、正会員の中から選任する。
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第17条(役員の職務)
- 1 会長は、本研究会を代表し、会務を総理し、総会および理事会の議長となる。
- 2 副会長は、会長を補佐し、その職務を代行する。
- 3 監事は、経費及び会計を監査する。
- 4 理事は、理事会を構成し、本研究会の業務を執行する。
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第18条(役員の任期)
- 1 役員の任期は2か年とし、会長・副会長・監事および理事は、4月に始まり翌3月に終わる。
- 2 前項による任期満了時までに後任役員を選任することが出来なかった場合、役員の任期は、前項の規定に関わらず後任役員が選任されるまで継続する。
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第19条(役員の補充)
役員が欠けたときは、第16条に準じて補充する。
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第20条(事務局)
- 1 本研究会は、会務を処理するため事務局を設け、職員1名以上を置くことが出来る。
- 2 職員の任免は、理事会の議決を経て会長が行う。
- 3 職員との労働協約の締結は、理事会の議決を経て会長が行う。
第4章 総会
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第21条(総会の招集)
総会は、次の場合に会長が招集する。
- ⅰ) 通常総会として毎年1回および役員が必要と認めたとき
- ⅱ) 正会員5分の1以上から会議に付議すべき事項を示して要求があったとき
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第22条(総会の通知)
総会の招集には、10日以前に、会議の日時・場所および付議事項を示し、郵便または電信をもって正会員に通知しなければならない。
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第23条(総会の議決)
- 1 総会は、委任状を含め正会員の過半数の出席によって成立する。
- 2 総会の議事は、出席正会員の過半数で決し、可否同数のときは、議長が決める。
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第24条(総会の議決権)
- 1 正会員は、各1個の議決権をもつ。
- 2 議決権の行使を、他の出席正会員に委任することができる。
- 3 前項による委任は出席とみなす。
第5章 経費及び会計
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第25条(経費の支弁)
本研究会の経費は、入会金および会費等から生じる収入をもって支弁する。
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第26条(収支決算)
収支決算は、毎会計年度終了後2か月以内に、監事の意見を付け、総会の承認をうけるものとする。
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第27条(会計年度)
本研究会の会計年度は、毎年4月1日に始まり翌年の3月31日に終わる。
第6章 規約の変更ならびに解散
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第28条(規約の変更)
この規約の変更は、総会において正会員総数の4分の3以上の議決を経なければならない。
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第29条(解散)
本研究会の解散は、総会において正会員総数の4分の3以上の議決を経なければならない。
第7章 補則
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第30条(細則の設定)
この規約に必要な細則は、別に定める。
以上 PMG―SWR®工法研究会の設立のため、この規約を作成する。- 附則
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- 1.この規約は、研究会の発足の日から施行する。
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2.この研究会の発足当初の役員は、次に掲げる者とする。
- 会 長
- 中野克彦(千葉工業大学教授)
- 副会長
- 沢田研自(一般社団法人日本免震構造協会専務理事)
- 理 事
- 太田 勤(株式会社堀江建築工学研究所取締役所長)
松崎育弘(東京理科大学名誉教授)
井上均(三和テクノス株式会社代表取締役)
- 3.この研究会の発足当初の役員の任期は、この規約の定めにかかわらず、発足総会の定めるところによる。
- 4.この研究会の発足当初の会計年度の事業計画および収支決算は、この規約の定めにかかわらず、発足総会の定めるところによる。
- 5.この研究会の発足当初の会計年度は、研究会の発足の日から平成23年3月31日までとする。
PMG-SWR®工法研究会
発足代表者: 松崎育弘
PMG-SWR®工法研究会組織表
- 会長
- 千葉工業大学教授 中野克彦
- 副会長
- 一般社団法人日本免震構造協会 専務理事 沢田 研自
- 理事
- 東京理科大学名誉教授 松崎 育弘
- 理事
- ㈱堀江建築工学研究所 取締役所長 太田 勤
- 理事
- 三和テクノス㈱ 代表取締役 井上 均
- 学術会員
- 大成建設㈱技術センター 主任研究員 杉山 智昭
- 1種正会員
- ㈱堀江建築工学研究所・㈱熊谷組・大成建設㈱・㈱鴻池組・㈱長谷工コーポレーション・ 前田建設工業㈱・前田工繊㈱・三和テクノス㈱
- 2種正会員
- ㈱長谷工リフォーム・三和アルミ工業㈱・㈱キーマン・㈱丸高工業
- 賛助会員
- ㈱ビーアールエス・トーテツ産業㈱・秩父コンクリート工業㈱・日本化成㈱
- (連絡先)
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- 設計
- ㈱堀江建築工学研究所 (井戸) 電話03-3376-1715
- 施工・事務局
- 三和テクノス㈱ (前田)(中村) 電話03-5952-0224